今週の月曜日から多くの子供が家庭学習に切り替わったドイツ。


さらに今週水曜日からはロックダウンが強化され、デパートや小売店などが閉まり、またまた街の賑わいがなくなりました。



今回のロックダウンの目的は、家族でクリスマスを楽しく過ごすせるようにするため。保菌した状態でクリスマスに家族で集まって感染を広めないようにすることが目的であり、学校も冬休みが前倒しになっただけでもあるので、まあここまでなんとかよく持ったな、と言うのが率直な感想です。


ところでこのロックダウンのニュースは日本でも既に報道されているようですが、事実よりキャッチーな感じで伝えられている印象があります。

「メルケルさんが称賛される→ドイツは日本の10倍近く感染者がいるくせに→結局ドイツだめじゃん」

という図式になり、結果対立を煽るような報道になっているなと感じるものも少なくありません。


そこで私の思うドイツと日本のコロナ対策や考え方の違いなどをなるべくフラットに書いてみたいと思います。 *とは言えあくまで私の考えなのでその点ご注意ください。


まず日本。


コレだけGotoキャンペーンやったり、都会の満員電車の通勤通学状況や政府のコロナ対策があくまで注意喚起するレベルで未だ新規感染者が3000人というのは本当に奇跡というか…すごいことだと思います。


もともと日本では病気の流行る冬にマスクをつける習慣があったり、また注意喚起レベルで多くの人が気をつける国民性であることは非常にコロナ対策に有効だったと思われます。

そしてさらに遺伝子的にかかりにくいなどの理由があるとか…。


では一方でドイツ。


日本の10倍近く1日2万〜3万人の新規感染者を出し、ロックダウンしたりマスクを義務化するなど厳しいルールで国民を縛らないと収束できないほどダメな国なのか…と言われると、それは違うなと思うわけです。



このコロナ禍において、ヨーロッパでマスクをする習慣がなかったことはかなりの痛手ではありました。では注意喚起だけで日本のように各自がコロナ対策をしたかというと、コレも無理だったでしょう。というのもヨーロッパにおける、各人の思う普通や常識の幅というものが日本よりも遥かに広いからです。



以前に「日本でちょっと浮いてると思われる子はドイツでは普通」という旨の記事を書いたことがありましたが、ドイツ含めヨーロッパは本当に他民族国家で人々の考え方も全く異なるため、個人を尊重する意味合いで「人は人」という考えが非常に強いのです。


法律を犯さず、ある程度のモラルを持って生活していれば問題なく、あまり人の目を気にせずのびのびと自由でいられるところはドイツ生活のいいところなのですが、結果的に注意喚起程度で全く響かない人も多い点はこのコロナ禍では裏目に出てしまったと言っても過言でないと思います。


ドイツでは政府の出したルール以上に厳しくコロナ対策をしている人もいるし、一方で全然気にしていない人も日本以上にいることでしょう。


そのためこうした非常事態において一律のルールを決める政府の役割は非常に重要なのかと思います。 一方、日本は危機管理の高い人の集まりというよりは(もちろん気をつけている人もいるのは確かですが)、人の目を気にする社会なので、こうした注意喚起だけで、皆なんとなく空気を読んでうまくおさまっていくような面もあると思います。


この点はコロナ禍では利点だったのかなと思いますが、普段の生活面では息苦しいと感じる人も結構いるのではと思います。


「いやいや、注意喚起は理にかなっている内容だし、相手のことを思えば当然でしょ!」と思われる人もいるかと思いますが、その考えもある意味押し付けとも考えられるわけで…


この点は欧米との大きな違いであると言えるでしょう。



また、欧米人は遺伝子的にアジア人以上にコロナにかかりやすい可能性もひょっとしたらあるかも知れません。


結果はどうであれ、また矛盾している政策もありましたが、トータルで見るとドイツは政府がコロナ対策においてはかなり頑張っていると感じます。


ロバートコッホ研究所と連携し、感染対策情報を更新していったり、アメリカと共同で開発した独自のワクチン接種も今月の23日から始まります。多くの犠牲者を出しながらも、ジャングルの草を掻き分けてブルドーザーの如く突進していくかのようそのパワーはやはりすごいなとも思うのです。



メルケルさんは演説でも「これが祖父母にとって最後のクリスマスになるとすれば…」など、聞き手がイメージしやすい例で表現することが多いのですが、ドイツ社会が自由なことを理解した上で皆に協力を求めるメルケルさんの姿は、家庭で言えば、あたかも「玉石混合な子供をたくさん抱え、家庭内の問題に真剣に立ち向かう肝っ玉おっかさん」のような印象を受けます


。一方日本の首相は「自分の子供たちは皆大体似たような性格で基本的に真面目。目立った問題はさほどない。外で仕事をバリバリ頑張るお父さん。私たちの知らないところで色々頑張っているのかも知れない。でも家庭内に深刻な問題があってもよく事情が分からないし、分かろうともしない。息子が登校拒否?それはじゃあお母さん、学校でも相談したら?じゃ、今日も忘年会だから。遅くなる。飯いらない。」みたいな印象。



まあ政治家なんて誰がなってもどの国でも文句は言われる大変なお仕事だとは思うのですが…そろそろ国民の生活が全く理解できない昭和の理不尽な言い訳オヤジみたいな方には正直去ってもらいたいなと思うのです。

18.12.2020
*ドイツだけでなく北欧なども昔はそんな感じだったそうで。つまり社会は変われるということです。

恐ろしく変化がスローな日本社会なんで、とにかくめげてしまいがちですが…コロナ対策だけでなく、社会は変われると信じて、働き方なども声をあげてどんどん変えていかなければいけないなと思う次第です。