日本に戻ってからというもの、出かけてもあまり出先の人と会話をしないなということに気がつきました。
電車に乗ってもお店に入っても特に声を出すことなく帰ってきます。
首都圏、こんなに人が多いのに…。
思えばドイツの頃は、スーパーでカートを返却しようとすると「それ使っていいかしら?」と聞かれ、店内ではおばあさんに「目が見えにくいからこのヨーグルトの賞味期限見てくれるかい?」と突然尋ねられ、バス停では若者に「何時ですか?」と聞かれ、電車のホームでは「〇〇行きはどちらですか?」と尋ねられ…と、
本当に1人で出かけても誰かと何かしら会話?をしてた気がします。
ドイツ語喋りたくなくて、たまに雑踏の中で「空気」になりたい時があっても、なれない時もあったな。。。とほほ。
が、幸か不幸か、日本だとこうした機会が激減。
先日、マンションのエレベーターで大量の荷物を運んでいた時、誰かが乗ってこようとしたので
「あ、この荷物おろしたら終わりますから」
と声をかけたと思ったら、知らないうちにスッとその人はどこかへ行ってしまった、ということがありました。
まあ、コロナ時代というのもあって話さない方がベターであることもありますが、なんだかこちらも「アレ?」という感覚になることがあります。
子供が小さいうちは結構いろんな人に話しかけられたりして、驚いたりもしたもんですが(赤ちゃんパワー、すげ〜!と。)、今は子供も大きくなり、
またまた寡黙な時代に逆戻り。。
と、いうわけで「日本はしゃべらない文化、ドイツはしゃべる文化です」
…と締めてしまうにはあまりにひどい考察なんで(笑)、もう1歩、ない頭を捻って考えてみることにします。
まあ、実際日本人はシャイですし、突然声をかけるのも失礼だという文化もあると思うのですが、実は日本語の会話の仕方も関係あるのかなと思いました。
と、いうのもドイツの場合、お店に入る時はお客または店員さんがハローと声を掛け合い、「何かお探しですか?」「何かヘルプしましょうか?」と尋ねてきますが、これは「はい」または「いいえ」で返す質問の仕方です。
レジでも「ありがとう!良い1日を」と言われれば「ありがとう。そちらもね」と返します。ドイツで会話や挨拶は店員さんに対しても基本的に2つでセットであり、言わばこれはドイツでは会話のテンプレート。
一方で、日本の場合、お店に入ると「いらっしゃいませ」と声をかけられますが、洋服屋や雑貨屋さん、食料品店だと、店員さんに対して、こちらとしてはせいぜいニコリと会釈をする程度でしょう。
レジでも「ありがとうございました。またお越しください」と言われますが、それに対しても軽く会釈して「あ、どうも」と小さく返すくらいではないでしょうか。
場合によっては「いらっしゃませ」というだけで店員さんもこちらを見ていないし、お客さんも全く店員さんを見ていない、お互い空気のような挨拶です。
「どうぞごゆっくりご覧ください」「お手にとってご覧ください」「本日〇〇がお安くなっております」という店員さんからの誰に対して声をかけているのかよくわからない会話ではない「アナウンス」が日本では多い一方で、ドイツではそうしたアナウンス的な会話がなく、「今日はこれがお買い得ですよ。美味しいですよ!」と近くにいる「誰か」に必ず話しかけるのです。
そうすると「いえ結構。」「試してみるわ」などと捕まってしまった人は何かしら答えなければならないので、必然的に会話が成立してしまうのでしょうね。
また募金活動などでもそうした違いは見られます。
日本では道行く人たち全員に「協力お願いします!」と大きな声で「呼びかけ」を行うけども、ドイツでは協力してくれそうな人を見つけて駆け寄ってくる、といった感じです。
この点はなかなか面白いところで、ドイツでは公共の場で大声を出すことはどちらかというと品のないもの、という考えからだと思うのですが、レストランなどでも店員さんにさりげない合図を送り注文したり支払いを行う文化です。
一方で日本は居酒屋などでも、店員さんがみんなで一斉に「いらっしゃいませ」「ご注文いただきました!」と店内が響き渡るほどの声で叫んでいたりします。
日本ではこうした大声で、活気の良さを作っているのだと思うのですが。
この点は欧米人(おそらくこの感覚は欧米は似ていると思う)が見ると
「日本人全然恥ずかしがり屋じゃないじゃん…でも1対1になると答えてくれないのはなんで?」
と不思議に思うポイントかも知れません。
現在はこんなに海外旅行経験者も多く、また多くの人が外国語を習っている時代なのに実はこうした分析はあまりされていない気がします。
結果、どっぷり海外滞在経験をした人しかこの体験をしていないことが多いので(短期間だと気が付かない)、両国のの溝がなかなか埋まらないのかな〜、と。
私も40過ぎてこうした違いを知ったわけなので、全く偉そうなことは言えないないのですが…。
ただ、今、大学生をもう一度やれるとするならば、「比較文化」などの勉強も面白そうだなと思います。しかし視野が狭く、受験勉強しかしていない18歳の自分にそんな選択肢は思いつかなかったでしょう。
そう思うと歳をとることも悪いことではないし、子どもにも学校以外の課外活動も大切にして、世の中のいろんな「気づき」を探してほしいなと思います。
コメント
コメント一覧 (11)
一方主人は小さい頃から近所の人たちと特に交流もなく、知らない人と話すのが苦手です。話しかけられる事もほとんどありません。
育ってきた地域や環境によってこんなに違うの?と驚く事も多いです。日本の中だけでもこんなに違うなら、海外と比べると物凄い違いがあるんだろうなあ…いろんな人と話した方が孤独感を感じる事も減ると思うんですけどね。
癒されますよ🥺
スーパーで品定めをしてるとき、「どれが美味しいと思う?」「これ食べたことある?」とか「ここの〇〇はオススメやでー」など。
私がおばさんだからかもですが。
あとレジでお金払ったあとも、ほぼ「ありがとう」というし、レストランでるときは「ごちそうさまでした」と言います。
周りも結構言いますよー。
東京はたしかにみんな静かですね。
私と私の周りでは比較的あいさつや会話をする方なのだと気づきました!
レジではお互いに「ありがとうございます」と伝えるし、朝は「今日もお気をつけて」「なんもですよ~」などなど。
そういえば引越しされてきた中には、エレベーターやエントランスでご挨拶すると驚かれる方もいらっしゃるので、やはり土地柄なのかもしれませんね…
日本の広告戦略はインパクトな部分があるので、大事な中身に一切触れない広告がうじゃうじゃしてて嫌になります。通勤すれば嫌でも同じ広告が目につきイライラ。
本題に戻ると、こういう広告があるので、いざ自分に来られると「え、自分?」と思うことがあります。傍観者効果というのでしょうか、別に返事求められていないなら何も返さなくていいよね。突っ込むのは野暮だよね。という風潮がある気がします。
ハッと考えさせられる
ブログ、愛読させていただいてます!
誰に話しかけてるかわからないアナウンス的な!に、どきっとしました。
私、副業でまさにこんな接客してます(涙)
覗いたお客様にいらっしゃいませ
は禁句よ!逃げられるわよ。
こんにちはーでね。
と先輩から指導され
こんにちはー!してるのですが
逃げられます。
私はお店の人に話しかけられるのが苦手。
そんな雰囲気が伝わってしまうのでしょうか…悶々なのです。
其れ 正に私です。
買い物してる時話しかけられるの、メチャ苦手、スーと離れてしまいます。
でも、服などは何が合ってるのか分からないので内心、意見を訊いてみたいと言う気持ちは有るのですが…。
のんさん
ありがとうございます。
まさに私も。
近づいてくると
無表情にすらなってしまいます。
売りつけられそうー
話したくないー
ほっておいて欲しい派です。
だけど
仕事は
売り子なので
さりげなく接近して
好みをうかがって
売りたいっ衝動を包みかくして
売らねばなりません。あおーん。
すごく 同意です。私も 人見知りなので、外で話しかけられると、逃げます…(((^_^;)が、接客業なので…アナウンス してます(笑)
お客様でも わりと 欧米の方は「失礼します」でも「お待たせしました」にでも反応をいただけますが、日中韓の方は、アナウンスだ…という認識のように感じます。
…なので、こちらの「アナウンス」に 反応があると ちょっと 驚いてしまいます(笑)
いつも 考える機会を与えていただける記事で とても 楽しみにしています。
これからも よろしくお願いします(о´∀`о)
昔ながらの「集団統治」の方法論が根深く社会の隅々に今でも根付いていると思います。
そこでは個人が声を上げたり横のつながりで情報を共有するよりも、個々は分断されて、
お上が上から下げてくる施策を黙って享受する、と、これは学校教育でも言えて、
「この時間は私語厳禁」「自由な意見の表明は控えましょう」という文化的伝統ですね。
対して欧州などは、民主革命を経た歴史があり、個人と個人が連帯して社会を
形作って行こう、という思想です。
日本は、地位や立場は上から(会社や組織などから)与えてくれるものであって、知らない個人は
「お前誰だよ」というのが基本的にあると思います。